キリロムグループCEO 猪塚武 のブログ

キリロム グループ CEO 猪塚武のブログです。キリロム工科大学やvKirirom Nature Landなどの事業の話を書きます。

おそらく日本を救ったのは「職域接種を実行する」という意思決定

 私は日本とシンガポールカンボジアにオフィスがある。このブログを書いている2021年11月時点で新型コロナを最もうまくマネージしているのは日本である。シンガポールはワクチン接種率が80%を超えたのでウィズコロナ戦略に切り替えたところ新型コロナの患者がすごい数増えたし、カンボジアは効果の弱い中国製ワクチンを6歳以上の9割に接種した後に強引にウィズコロナ戦略に切り替えたので感染自体は広がっているようだ。新興国のとり得る戦略としてはカンボジアも秀逸であるが、ファイザーとモデルナを確保できた日本のようには綺麗にやることができていない。

 日本はワクチン接種のブースター接種を適切にやれば、もう第6波は来ないのではないかと私は思っているのだが、ここまでの状況を見て「職域接種を実行する」という意思決定をしたことが日本の成功につながったんだと思う。そのことを少し説明したい。

#1. 職域接種でワクチン接種の遅れを挽回

日本の厚生労働省は問題を抱えた組織であることが今回の新型コロナ危機で明確になった。日本政府のワクチン確保は遅れていて、それゆえにワクチン接種において日本は先進国の中ではダントツに遅れていた。東京オリンピック開催という錦の御旗もあったので遅れながらもワクチンの大量確保には成功した日本政府だったが通常のプロセスではせっかく確保したワクチン破棄のリスクさえあった。そこに登場したのが職域接種というコンセプトであり、職域接種により一時的にワクチン不足が起こったほどの驚異的なワクチン接種スピードを日本は達成することができた。

 

#2. 職域接種はワクチンの重要性が高い組織に優先的に配布できる仕組みだった。

日本とシンガポールを比較したときにワクチン接種率が高くても新型コロナを抑え込めていないシンガポールと押さえ込んでしまった日本の違いがある。この違いはどこから来るのかといえば、職域接種がアクティブに行動するワクチン接種の優先順位が高い人や組織に優先的にワクチンを配布したからだと思われる。さらにいえば、日本は海外のロックダウンのような強制的な手法が使えなかったので、アクティブに行動する人は新型コロナの感染率が高い状態にあった。強い危機感を持っていた組織がすごい勢いで動いたので平均的なワクチン接種率が同じであったとしても新型コロナを押さえ込むのに最適なワクチンの優先接種ができたのだと思う。

 

#3. 職域接種は行動心理学的に高いワクチン接種率に導いた

ワクチン接種を嫌がる人は多い。米国や英国などはワクチンの量はあるのに接種しない人が多いのでコロナが終息しない。日本が20才以上の85%がワクチン接種を完了するという高いゴールを実現できた理由の一つが職域接種の持つマーケティング効果がとても機能したことが言える。シンガポールと日本を比較したときに行動心理学を考慮して政策を打ち出せていないのが日本だったのだが、職域接種だけは違っていた。

 

#4. 職域接種は日本ブランドを守った

当初、2020年は新型コロナを抑え込んでいた日本だが、途中から「日本は何やってんだよ!」という空気が海外で漂い始めるほど新型コロナ対策は酷い状況になっていた。しかし、現在は綺麗にコロナを抑え込んで世界の優等生となっている。「日本ってやっぱりやるときはやるよね」というブランドが戻ってきている。コロナが終わったら日本に行きたいと思う外国人が増えているのもワクチンを押さえ込めたからでもある。

 

#5. そして職域接種は自民党も救った

自民党の大敗が予想されていた衆議院選挙だが結果は自民党は負けなかった。色々な理由が言われているが、コロナが落ち着いてしまったのでコロナが争点に全くならなかったことは最も大きな要素だと思う。私は職域接種が自民党を救ったのではないかと思っている。

 

職域接種を実行してくれた方々に感謝しよう

私たちは非効率な日本の官僚制度の中で職域接種を強引に導入して日本を救った菅首相や河野ワクチン担当大臣のリーダーシップに心から感謝すべきだと思う。緊急事態宣言が1日伸びただけで相当な損失が飲食店・旅行業・日本経済にあるので職域接種によって救われた金額を是非学者さんには研究して欲しい。テレビを見ていで菅さんや河野さんがもっと評価されるべきだと思ったのでブログを書いてみました。

 

アクティブ層の集団免疫獲得とGoToトラベル再開について<日本で新型コロナ感染者が急減している理由についての考察>

 8月のオリンピックの頃にピークで2万5000人/日まで増えた日本での新型コロナの感染者ですが、現在急減しており10月9日には日本全体で777名まで下がり東京都では82名で今年最小になっています。菅政権や河野大臣の貢献は大きかったと思うので事後でも良いのできちんと評価してあげて欲しいと思います。今回の感染者数の急減においてはなぜ患者数が減ったのかわからないという声が多いです。そもそもなぜ増えたのかというところも都議会議員選挙が原因であるとの声も聞きますので一般の方のイメージとはずれがちだと思います。これからの衆議院選挙も患者数を増やす原因となりうると思うのですが、現在は感染者数は減少トレンドですので、私自身は「アクティブ層の集団免疫獲得」が患者数減少の理由ではないかと思っています。ただ、データもありませんし、私自身がアンケート調査をやったわけでもないのであくまで個人の推論の域を出ません。そんな意見ですが、関係者の皆さんに正しく検証して・議論してもらいたいポイントなのでブログに書くことにした。

シンガポールと日本の違い

シンガポールはワクチンの2回接種者が83%を超えており、8月末からウィズコロナ戦略に移行しています。驚くべきことに、現在は3500人/日を超える患者数が出ることになっていて、人口あたりで日本と比較すると6万人/日のペースです。もちろん軽症者が98%以上なのでワクチンの効果は十分にあるのと、重傷者はワクチン未接種の方が多いようですが、ゼロコロナの成功組だったシンガポールに慣れた国民の不安は相当なもののようです。10月末ごろまでは、全員在宅勤務ルールが徹底されていますが、なぜ日本では感染数が落ち着いていて、シンガポールでは爆発しているのか?

 ここでのポイントは日本はシンガポールのように厳格にルールを守らなかった人が大量にいる国であるということです。シンガポールでルールを守らないリスクはとても高いのでおそらくほとんどの人がルールを守っていますが、日本ではコロナを気にせずアクティブに行動する(した)人が多くいてそいういう人たちはすでに新型コロナに感染していたり、周辺に感染者が多いので早めにワクチンを接種するなど新型コロナへの対応が進んでいると思われます。この点がシンガポールのウィズコロナ戦略移行期の混乱を評価する大切なポイントだと思います。

インドと日本の比較

インドはデルタ株の発生国です。現在インドでは新型コロナの患者数は比較的落ち着いていますが、ワクチン接種がすごくすすだわけではありません。まだ20%未満です。加えて、接種しているワクチンもファイザーやモデルナのような効果の高いmRNAではなく、相対的に効果が悪いと思われれているものです。なぜインドで新型コロナの患者数が抑えられているのかの理由は多くの国民が感染しているからだと推測されています。インドのムンバイでは90%の人が抗体を持っていたという研究結果も出ています。ワクチン接種者は65%しかいなかったので残りは感染経験者ということです。

 

日本のアクティブ層の感染率の高さ


日本には新型コロナに関わらず活発な行動を続けたアクティブ層と政府の指示に従って徹底的に自宅で感染を避けたパッシブ層が存在すると思われます。日本のワクチン接種の平均や金感染者数はこれらの全国民をまとめて統計を取ったものですが、アクティブ層とパッシブ層を分離してワクチン接種率と感染による免疫獲得率を計算するとおそらく違う現実が見えてくるのではないかと思います。私の感覚ではアクティブ層の抗体保有率は極めて高いと思われます。感染者+ワクチン接種者という意味です。職域接種という方法を日本が採用したこともアクティブ層に対して優先的にワクチン接種を行えた理由なのではないかと思っています。我々は職域接種を発明(または採用)した政府の関係者に心から感謝すべきではないかと思います。

GoToトラベル再開はワクチン接種者限定にすべき

私のアクティブ層の集団免疫獲得という仮説が正しかったとすれば、今後シンガポールのようにならないために大切なことがあると思います。それは、「パッシブ層がワクチンを接種しないままにアクティブ層にならないこと」です。日本の法体系は権利を制限することに対して社会性が考慮されにくい傾向があるので心配です。もし「GoToトラベル」を政府が再開するのであれば「ワクチン接種証明書または感染証明書の提示」をGoToトラベル利用の義務とすべきだと思います。つまり、ワクチンを接種できない子供達はGoToトラベルに参加することはできないし、ワクチンを接種しないと決めている人もGoToトラベルには参加できないという意味です。もちろんGoToイートもワクチン接種者限定です。ワクチン接種が許可されない年齢の子供達にはお金を一律で配る話も出ているのでそれでバランスを取れると思います。

 

企業のテレワーク解除はワクチン接種を前提に

そして2つ目が企業が推進しているテレワークの解除についてです。企業はテレワークによって生産性が低下することがわかってきたので、これからオフィス出勤を強く推奨するようになると思います。これはパッシブ層のアクティブ化なので公共交通機関を使って通勤をする方にはワクチン接種を義務化しなければ感染者が増える可能性があります。

最後に

ワクチン接種が生命に関わる人もいるかもしれないので、ワクチンを接種しない自由は認められるべきです。しかしそれは、職業選択の自由や社会的なインセンティブ設計において被るハンディと共存です。優しい社会においては、ワクチン接種ができない人が人と接することなく社会生活を送れるようにするという視点は大切ですが、ウィズコロナ時代にワクチン未接種者または未感染者が新型コロナ菌が蔓延する社会に出ることは行政がサポートすることではないと思います。

デルタ変異株の感染力が強くて・重症化リスクが高くても、日本は年内に経済活動を再開できます。

Facebookの投稿を見るとデルタ株に対する悲観論が主流になっています。

しかし私は日本国内のの経済活動は来年の頭から普通に戻るという意見を変更しません。さらに言えば、デルタ株になったことで日本の経済再開はより早まった可能性さえあると思います。とても悲観的になっている人を元気づけるために、私の考えを説明させてください。

1.デルタ株発祥の地インドはどうなったのか?

デルタ変異株発祥の地であるインドは感染爆発がありましたがその後どうなったのか?感染爆発はおさまっています。おそらく理由は「大半の国民が感染したから」だと思います。デルタ変異株の感染力が強いということは全員が感染するまでの時間も短いということなのです。

 

2. インドと日本の違い

インドでは多くの方が亡くなりました。日本もそうなるのかと言えばそこは違います。日本はワクチンの接種スピードがすごく早く120万回/日という驚異的なスピードです。これまでに1億回の接種が終了しており、このスピードを3ヶ月継続すれば全国民が2回のワクチン接種が終わります。デルタ株は感染力が高くて重症化リスクが高いと言われていますがワクチンを2回接種した後に重症になる方はとても少ないです。インドのワクチンはファイザーやモデルナのようなデルタ株に対して効果的なものでもなかったと思います。日本は3ヶ月間我慢するだけで良いのです。

 

3.ワクチンの順番待ちの方だけを3ヶ月間守る政策に変更

ワクチンを接種しないと決めている方は多いと聞きます。今回のコロナの感染力を考えると終息の条件は下記ではないかと思います。

(ワクチン接種による抗体獲得者数)+(コロナ感染による抗体獲得者数)>(人口の80%-90%)

日本ではワクチン接種は国民の選択です。コロナ感染の重症化リスクはロシアンルーレットのようなものなので多くの方は重症化しませんから、ワクチンを接種しない自由があっても良いと思います。従って政府としては3ヶ月間ワクチンの順番待ちの方だけを保護する政策で良いと思います。

4.経済も守るべき

日本の飲食業は大きなダメージを受けています。これから3ヶ月、ワクチンの順番待ちの方を徹底的に守る政策を政府は取るべきだと思いますが、同時にワクチンを2回接種した人はコロナ前の倍くらい外食を使い・旅行に行って欲しいと思います。

 

5. ワクチンを打たないと決めている人も減るはず

政府がワクチンを打つかコロナに感染するかどちらかしかないというアナウンスをすることによりワクチンを打たなくてもコロナを乗り切れると考えている人の多くがワクチン接種を待つ側に流れると思います。結果としてこれから3ヶ月のワクチン接種者の数はデルタ株出現前の予想よりも増えることになると思います。ワクチンを打たない自由はあるので政府はワクチン接種を強制はしませんが、3ヶ月後には街に出ればコロナに感染するのが普通な時代が来るということをきちんと伝える必要があると思います。

 

6. 結果としての日本のコロナはインドのように年内に収まります。

現在の日本は緊急事態宣言・蔓延防止と言いながらもワクチンを接種した人やワクチンを打たないと決めている人は積極的に活動しています。すでに上記の政策に事実上なっているのです。重症化しなければ病院に行けないという宣言もこの方向に沿った考え方だとも考えられます。なので我々国民としてはこれから3ヶ月間はコロナになっても病院にはいけないのでワクチンの2回接種が終わってない人は自主的にロックダウンをするべきだと思います。またワクチンを2回接種した人は緊急事態宣言・蔓延防止に関わらずコロナ前以上に経済活動を行って経済を支えることで日本国内は来年から通常の経済活動に戻れると考えています。

 

7.必要以上に悲観的にならないでください。

私がこのブログを書いたのは必要以上に悲観的になる必要はないということをお伝えしたかったからです。繰り返しになりますが、ワクチンを2回接種してない人は会社になんと言われようとこの3ヶ月間は一歩も家の外に出ないほうが良いと思います。

 

(追記)大阪府の分析データ

下記は大阪府の分析データです。

#1. ワクチンを2回接種して2週間経過した人は大阪で重症者ゼロ・死亡者ゼロ
#2. ワクチン2回接種は国民の30%以上に達しているのに、感染者におけるワクチン2回接種者は0.3%しかいません。

上記の1と2を合わせるとワクチンを2回接種するとほとんどコロナにかからないことに加えてコロナに万が一なっても死なないし重症にならないということかと思います。

120万回/日の接種ペースを維持できるのであれば、日本でのコロナパンデミック収束まで残り90日と言い切って良いと思われます。 

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