8月のオリンピックの頃にピークで2万5000人/日まで増えた日本での新型コロナの感染者ですが、現在急減しており10月9日には日本全体で777名まで下がり東京都では82名で今年最小になっています。菅政権や河野大臣の貢献は大きかったと思うので事後でも良いのできちんと評価してあげて欲しいと思います。今回の感染者数の急減においてはなぜ患者数が減ったのかわからないという声が多いです。そもそもなぜ増えたのかというところも都議会議員選挙が原因であるとの声も聞きますので一般の方のイメージとはずれがちだと思います。これからの衆議院選挙も患者数を増やす原因となりうると思うのですが、現在は感染者数は減少トレンドですので、私自身は「アクティブ層の集団免疫獲得」が患者数減少の理由ではないかと思っています。ただ、データもありませんし、私自身がアンケート調査をやったわけでもないのであくまで個人の推論の域を出ません。そんな意見ですが、関係者の皆さんに正しく検証して・議論してもらいたいポイントなのでブログに書くことにした。
シンガポールと日本の違い
シンガポールはワクチンの2回接種者が83%を超えており、8月末からウィズコロナ戦略に移行しています。驚くべきことに、現在は3500人/日を超える患者数が出ることになっていて、人口あたりで日本と比較すると6万人/日のペースです。もちろん軽症者が98%以上なのでワクチンの効果は十分にあるのと、重傷者はワクチン未接種の方が多いようですが、ゼロコロナの成功組だったシンガポールに慣れた国民の不安は相当なもののようです。10月末ごろまでは、全員在宅勤務ルールが徹底されていますが、なぜ日本では感染数が落ち着いていて、シンガポールでは爆発しているのか?
ここでのポイントは日本はシンガポールのように厳格にルールを守らなかった人が大量にいる国であるということです。シンガポールでルールを守らないリスクはとても高いのでおそらくほとんどの人がルールを守っていますが、日本ではコロナを気にせずアクティブに行動する(した)人が多くいてそいういう人たちはすでに新型コロナに感染していたり、周辺に感染者が多いので早めにワクチンを接種するなど新型コロナへの対応が進んでいると思われます。この点がシンガポールのウィズコロナ戦略移行期の混乱を評価する大切なポイントだと思います。
インドと日本の比較
インドはデルタ株の発生国です。現在インドでは新型コロナの患者数は比較的落ち着いていますが、ワクチン接種がすごくすすだわけではありません。まだ20%未満です。加えて、接種しているワクチンもファイザーやモデルナのような効果の高いmRNAではなく、相対的に効果が悪いと思われれているものです。なぜインドで新型コロナの患者数が抑えられているのかの理由は多くの国民が感染しているからだと推測されています。インドのムンバイでは90%の人が抗体を持っていたという研究結果も出ています。ワクチン接種者は65%しかいなかったので残りは感染経験者ということです。
日本のアクティブ層の感染率の高さ
日本には新型コロナに関わらず活発な行動を続けたアクティブ層と政府の指示に従って徹底的に自宅で感染を避けたパッシブ層が存在すると思われます。日本のワクチン接種の平均や金感染者数はこれらの全国民をまとめて統計を取ったものですが、アクティブ層とパッシブ層を分離してワクチン接種率と感染による免疫獲得率を計算するとおそらく違う現実が見えてくるのではないかと思います。私の感覚ではアクティブ層の抗体保有率は極めて高いと思われます。感染者+ワクチン接種者という意味です。職域接種という方法を日本が採用したこともアクティブ層に対して優先的にワクチン接種を行えた理由なのではないかと思っています。我々は職域接種を発明(または採用)した政府の関係者に心から感謝すべきではないかと思います。
GoToトラベル再開はワクチン接種者限定にすべき
私のアクティブ層の集団免疫獲得という仮説が正しかったとすれば、今後シンガポールのようにならないために大切なことがあると思います。それは、「パッシブ層がワクチンを接種しないままにアクティブ層にならないこと」です。日本の法体系は権利を制限することに対して社会性が考慮されにくい傾向があるので心配です。もし「GoToトラベル」を政府が再開するのであれば「ワクチン接種証明書または感染証明書の提示」をGoToトラベル利用の義務とすべきだと思います。つまり、ワクチンを接種できない子供達はGoToトラベルに参加することはできないし、ワクチンを接種しないと決めている人もGoToトラベルには参加できないという意味です。もちろんGoToイートもワクチン接種者限定です。ワクチン接種が許可されない年齢の子供達にはお金を一律で配る話も出ているのでそれでバランスを取れると思います。
企業のテレワーク解除はワクチン接種を前提に
そして2つ目が企業が推進しているテレワークの解除についてです。企業はテレワークによって生産性が低下することがわかってきたので、これからオフィス出勤を強く推奨するようになると思います。これはパッシブ層のアクティブ化なので公共交通機関を使って通勤をする方にはワクチン接種を義務化しなければ感染者が増える可能性があります。
最後に
ワクチン接種が生命に関わる人もいるかもしれないので、ワクチンを接種しない自由は認められるべきです。しかしそれは、職業選択の自由や社会的なインセンティブ設計において被るハンディと共存です。優しい社会においては、ワクチン接種ができない人が人と接することなく社会生活を送れるようにするという視点は大切ですが、ウィズコロナ時代にワクチン未接種者または未感染者が新型コロナ菌が蔓延する社会に出ることは行政がサポートすることではないと思います。