キリロムグループCEO 猪塚武 のブログ

キリロム グループ CEO 猪塚武のブログです。キリロム工科大学やvKirirom Nature Landなどの事業の話を書きます。

キリロム工科大学国際ホスピタリティ経営学科の現状について

 

  4/18にスタートする国際ホスピタリティ経営学科ですが、11名程度(うち日本人4名)でスタート予定です。当初予定していた元IFC出身のイギリス人学科長が健康上の理由によりキリロムでの勤務継続困難になり4月頭に退任したため、私も学科長代理的な立場で国際ホスピタリティ経営学科の立ち上げ支援を行うことになりました。学科長は弊社でビジネスデベロップメントマネージャーとして3年間勤務している、カンボジア人のソチェットさんが就任します。ソチェットさんはカンボジアノートン大学のホテルツーリズム学科で5年間学科長を務めた経験があります。ただ、キリロム工科大学はカンボジア国内では外国人が教える大学というブランドがあるので1セメスター限定のピンチヒッターとして新しい学科長にバトンタッチになる可能性が高いです。

 国際ホスピタリティ経営学科1年生はファンデーションイヤーなので英語やITの授業は先端IT学部の先生が教えますし、ホスピタリティ経営学科は入学当初からvKirirom Pine Resortでの1年間のインターンシップがスタートしますので当初は学ぶことがいっぱいになります。

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キリロム工科大学の 国際ホスピタリティ経営学科は「Once In a Lifetime Experience」をデザインできる人材を育成しますが、1年時は少人数のフォーラムスタイルでvKirirom Pine Resortのオペレーション改善を議論しながら実際に進めていきます。国際ホスピタリティ学科の状況も定期的にお伝えしていきます。

vKiriromグループ CEO
キリロム工科大学 理事長

猪塚武

 

 

キリロム工科大学の学食のクオリティーについて

  キリロム工科大学の食事のクオリティーに関して質問があったので整理したものを書いておきます。まず最初にキリロム工科大学はカンボジア人には「学費生活費無料の大学」であり、日本人には「学費生活費(実質)無料」の大学です。大学に行く用意できない家庭に生まれた学生が下克上を達成してグローバルで成功することを目標にした大学であり、ブルーオーシャン戦略に沿ってデザインされています。食事の予算は限られていてかつビュッフェスタイルなので食べ放題です。カロリーあたりの費用対効果はとても高い食事になっています。この食事に対して一部の日本人学生から不満が出ていることを受けて現在対策を売っています。対策の方法は食事の有償アップグレードです。

 

というのは大学があるvKirirom Pine Resortはリゾートであり、設立当初は食事が美味しいことが話題になったほどです。学食での食事に不満がある学生が有償でアップグレードできれば問題は解決すると考えています。ただ、アップグレードの方法にも課題があります。お金がない学生が多いのでリゾート向けのレストランでステーキを食べていると嫉妬の目で見られることもあります。そこで、食費とプノンペンへのシャトルバスの往復と洗濯代をポイント制にしてそれを選択した食事に使えるようにします。日本人学生はカンボジア人学生ほどプノンペンとキリロムの間を往復するニーズもないかもしれないので、その予算を食事のアップグレードに使えば良いと考えています。学生によっては1日2食にしてアップグレードしたいという人もいるかもしれません。

 

しかし、アップグレードはオペレーション的に簡単ではありません。そこで2次元バーコードと付与したポイントでの携帯決済ができる仕組みをカンボジア人学生が開発しているところです。開発した第一バージョンはリリースされたのですが、コンセプトにミスがあり現在修正が必要となっています。

 

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キリロム工科大学の学食

日本人学生の中には「何でも食べられるし、カンボジア人とも仲良くなれる」人もいるのですが「食事の要求レベルが高く、カンボジア人となかなか仲良くなれない」人もいます。後者の学生のために学食の予算を増やすことはできませんので、二期生以降の日本人学生には「学費・生活費(実質)無料の大学だが、食事のアップグレードは有償」という風に説明しようと思っています。どこの国に行って何の食べ物を食べても大丈夫という学生さん以外はアップグレード用のお金を持ってきてくださいね。

 

また、現在の学食は近くの村の住民が調理しています。プロジェクトのスタート時にキリロムの山の上に住んでいる住民の仕事の面倒を見るようにカンボジア政府から言われているので、カンボジア人スタッフも食事をする学食のスタッフは今後もキリロムの村人ですし、学食は基本的にカンボジアのまかない飯のままです。一方で新しいフードトラック で大学の近くでサンドイッチなども販売する予定です

 

vKiriromグループ
CEO 猪塚武 

 

 

 

 

キリロム工科大学の入学試験の考え方についてまとめました。

vKiriromグループ CEOの猪塚武です。

 キリロム工科大学を受験する多くの日本人学生に色々な質問を受けるのですが、同じ質問が多いのでブログに背景などを整理していきたいと思っています。

 キリロム工科大学の入学試験は日本の入学試験とは少し違っています。なぜ違っているのか?大きく3つの理由があります。


その1.我々が日本の文部科学省ではなくカンボジアの教育省のルールに従っているから。

その2.我々は政府からの補助金をもらっていないので、補助金をもらっている学校よりも行動に自由度があるから。

その3.我々は学生にとってのドリームスクールを目指しているだけでなく、成長企業にとってもドリームスクールを目指しているから。

 

具体的にどのような違いが出てくるのか見ていきましょう。

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<柔軟な定員>

まず一番大きいのは定員についての考え方だと思います。

日本だと大学が認可される学科ごとに定員が決まっていて、それよりも多くても少なくても問題が起こると思います。背景にあるのは人数あたりの補助金制度だと思います。一方で我々は学生一人当たりの補助金はもらっていないので何人入学するかはキリロム工科大学側の予実管理の問題となっています。キリロム工科大学は変動費的な固定費が多い学校なので学生数をフレキシブルに対応することができます。特にキリロム工科大学の場合は教室と学生寮変動費的な固定費なのが大きいと思います。奨学金による学生はそれでも一定数までしか大学としては経営上リスクを取りにくいですが、一般の学生であればより自由度があります。

 

<個別の入学試験>

キリロム工科大学の入学試験は絶対基準です。なので、1人目から合格を出すことができます。入学は試験の基準を超えた学生の早い者順です。その期のキャパを超えていた場合は次の期での合格となります、人生は長いので半年くらいの待ち時間は気楽に考えましょう。

<入試は成功する学生を選ぶため>

キリロム工科大学の入試は成功できる学生を選ぶためのものです。成功できない学生を受け入れてしまうと学生が不幸になってしまいます。カンボジア人学生の場合は倍率20倍になっていますが、日本人学生の場合は倍率は1.6倍程度(2019年度)です。カンボジア人の場合は自分の学力の相対的な位置付けを知らないので無理そうな人も受けにくるので倍率が高くなっているのかもしれません。一方で日本人学生の方は英検2級の証明書の提出を求めているので受験する学生自体がすでにフィルターされているので倍率は1.6倍程度になるのかもしれません。日本人1期生が英語でとても苦しんでいるので、2期生の英語の基準を上げたことが今回の結果につながっています。このような形で毎年の試験結果とその後の成績を分析しながら成功できる学生は全員入学できるようにするのがキリロム工科大学の入試の考え方です。もちろん修正も必要です、数学とIQが物凄く高いのに英語が全くできない学生を今年は落としてしまいましが(その方は慶応大学のSFCにも合格しています。)、今後は数学とIQがとても良い方は英語の基準を下げることとしました。


<努力しないと絶対に卒業できません>

キリロム工科大学は産業界にとってもドリームスクールを目指しています。大学を卒業したが仕事ができないという学生を生み出さないという誓いがあります。なので授業を受けない、勉強をしない学生が卒業できる可能性は0%です。カンボジア人は全員が勉強するので学生が授業に出ない・勉強しないということを想定していませんでした。(日本だと普通なのかもしれませんが。)現在真面目に勉強しない学生を途中で退学にする制度・留年にする制度を来年度に向けて整備しているところです。考え方としては工場の出荷時の品質管理に近いものがあります。「キリロム工科大学卒業」というブランドにふさわしくない学生には絶対に学位を出さないという決意です。

 

<受験料を取りません。>

可能性がある学生には1人でも試験を受けて欲しいのでキリロム工科大学は受験料を取りません。これは受験料が大きな収入になっている日本の私立大学とは大きな違いです。

 

<面談重視です>

日本人1期生を分析した結果としては面談による選考が望ましいとの結論に達しました。キリロムで成功している学生に近い学生を採用するというものです。(もちろん例外はあります。)共同生活や新興国での生活への耐性、チームワーク力や社会性なども確認されます。一方で、カンボジア人の場合は学力重視・家族の支援・面談という感じです。

 

<オンラインテスト>

キリロム工科大学の入学試験は自宅のPCで受けることができます。パソコンを持っていなかったり、そこに入学試験ソフトをインストールできない学生は不利になりますが、IT学部に入学したい学生が自分のPCを持っていない可能性は低いと考えています。PCを持っている・持っていないのハンディより、東京に住んでいるか地方に住んでいるかの方が大きいと考えています。


飛び級可能>

日本の大学は高校卒業資格に加えて、18歳であることを求めますが、カンボジアの大学は高校卒業資格だけで大丈夫です。なのでキリロム工科大学は高校卒業資格認定をとれば飛び級が可能です。

 

<3年での卒業>

カンボジアの大学生どはオーストラリアをモデルにしています。オーストラリアの大学は一定の資格を満たせば3年で卒業できるのでキリロム工科大学もそうできないかどうかを現在調査中です。

 

キリロム工科大学の春入学はまだ空きがあるので継続募集中です。(5月末まで場合によっては大丈夫。)また、今年から秋入学が日本人にも解放されます。浪人して後悔した人や間違った大学に進学してしまったとお悩みの方、キリロム工科大学の試験を受けてみませんか?

 

vKiriromグループ CEO

キリロム工科大学 理事長 兼務

猪塚武