キリロムグループCEO 猪塚武 のブログ

キリロム グループ CEO 猪塚武のブログです。キリロム工科大学やvKirirom Nature Landなどの事業の話を書きます。

キリロム工科大学は大改革中です!

昨年の9月から書けていなかったブログを再開します。コロナウィルスの影響でWAOJEの台湾イベントが中止となりました。カンボジアの副首相との面談も無事に終えて、落ち着いて様々整理し、みなさまにお伝えできる時間ができました。

 

今年の社内での私の最大のミッションはIT事業の立ち上げなのですが、多くの日本の方にとってはキリロム工科大学の方が有名なのでそちらの方から書いていきます。

 

キリロム工科大学は現在大改革中です。

 

改革が必要になった理由はいくつかあるのですが、1つ目が「産業革命4.0に適合するために同一法人で産学連携を行いトップダウンで大学を経営するというコンセプトに対して大学を管轄するカンボジアの教育・青少年・スポーツ省から一定の制約が求められた。」ということです。私が理事長と学長を兼務してトップダウンで経営するのではなく、私を含めた7名の理事(ここは私がアサインできます。)が定めた戦略に沿って運営する学長・副学長を選び経営を任せるというスタイルにするということです。また、同一法人内の産学連携のコンセプトは良いのですが大学部門とそれ以外の部門の兼務を極力しないということが求められています。

2つ目の理由が大学の質が変わってきたことです設立当初は英語が苦手な国の貧しい家庭に生まれた子供達のための大学でしたが、今年のカンボジア人新入生の英語力は相当高いですし、決して貧しくない家庭の子供たちも含まれています。カンボジアのIT分野ではトップの大学として認知されたことが最大の理由です。カリキュラムを変更する必要があります。

3つ目が学生数に合わせた組織への転換です。初年度は私(アントレプレナー)が20人のカンボジア人を教えるという体制でしたが、現在は日本人も含めて300人の学生がいます。バーチャルカンパニーも20社近くになり、私が全てのバーチャルカンパニーのチェアマンをやることが現実的でなくなってきました。大学の組織化が大きな課題になっています。

結果として、トロント大学で教育学のPh.Dを取得したカンボジアの教育界のホープであるLeng Phiromさんというカンボジア人を学長に大抜擢して副学長として新しく採用した釜我さん、Sothyさんという2人のPh.Dホルダーと創業時から大学を一緒に作ってきたインド人のLeo先生を合わせて3人副学長体制に1月から権限委譲しました。まだ1ヶ月しか経過していませんが、この改革は成功だったともうわかるくらい学校組織が生き生きとしてきました。

また理事会もとても強力な体制になりました。理事の中にはカンボジアの現役大臣、カンボジア下院のアドバイザー、世界最強の起業家組織の元会長が含まれます。現在はアドバイザリーボードの再編成中ですがこちらも強力な体制になりそうです。

 

設立からこれまでは日本人がカンボジアに設立した大学をインド人と一緒に大きくしているという感じでしたが今年からはカンボジアのNo.1のIT大学としてカンボジア人のエースが運営にどんどんコミットしてきているということです。勝手に進化していく大学を見ていてとても嬉しくそして誇らしい気持ちというのが現在の私の気持ちです。

 

もちろんこういった大転換期にはいろいろな細かい問題が起こりますが、数ヶ月ほど温かい気持ちで見守っていただければと思います。

 

バーチャルカンパニー改革 

 

同じ運営法人内ではありますが、これまではキリロム工科大学内に置かれていたバーチャルカンパニーがキリロム工科大学の外に置かれることになり同一法人内の産学連携というフレームワークになりました。現在20近くあるバーチャルカンパニーの運営を運営法人の副社長である別宮さんが1人でまとめているのですが別宮さんが大学経営から離れてバーチャルカンパニーに集中できることはとても良かったと思います。こちらは私からのトップダウン体制でどんどん良い会社を世の中に生み出していきたいと思っています。キリロム会議で5社のバーチャルカンパニーがピッチを行いおそらく2社が投資を受けてベンチャー企業としてスピンアウトすることになると思います。

 

外国人学生受け入れ改革

 

そして、もう一つの大きな改革が外国人学生の受け入れです。キリロム工科大学では日本人学生を1年半受け入れてきましたが、キリロムで成功する学生とキリロムに馴染めずに退学を選択する学生に分かれています。高校を出たばかりで日本社会のマイナス面を体験していない学生が、キリロムに来て、何もない山の上で、しかも受け身では何も進まない厳しい環境で4年間過ごすというのはハードルが高すぎるかもしれないと思うようになりました。2年間なら頑張れるのではないかという気もするので、2年間のキリロム滞在で人生を変える体験をするという方向に舵を切ってもいいかなと思います。短大・日本国内の大学からの編入・ダブルディグリー・修士課程・博士課程などが考えられます。現時点で検討されているのは修士課程です。特に修士課程は今年の11月開講でCyber Seruity専攻、Technology Management専攻、Data Science専攻の3つの専攻課程を想定しています。

また生活レベルの改善に関しては卒業時の後付け奨学金を出さない代わりに食事や宿泊施設のレベルをアップグレードする案が検討されています。卒業時に全額学費が戻るよりも在学中の生活レベルを上げる方を好む外国人学生も多いように思います。

そして最後に日本人の4月入学の是非も検討されています。3月の受験期にキリロム工科大学を見つけた学生が4月からキリロムに来るとキリロムの環境を判断する時間的な余裕がないのでミスマッチが発生しがちです。我々は1年前にミスマッチが発生しがちな指定校推薦での受け入れを廃止しましたが同様の理由です。5月くらいから英語のプリスクールとして2−3ヶ月キリロムに来てもらい、そこで納得した学生が11月からカンボジア人学生と一緒に本格的に入学する方が良いのではないかと思うようになりました。キリロムは人を選ぶ場所です。じっくり検討してもらってから入学してもらえたらと思います。

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キリロム工科大学は大改革中です!

キリロム工科大学 理事長
vKirirom Group CEO

猪塚武